茨城県ひたちなか市・国営ひたち海浜公園を舞台に開催される「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」(通称:ロッキン)は、日本最大級の野外ロックフェスティバルだ。2024年の開催は5年ぶりとなるひたちなか会場への凱旋となり、音楽ファンの間で大きな話題となった。
開催期間は2024年9月14日(土)・15日(日)・21日(土)・22日(日・祝)・23日(月・振休)の5日間。東京スカパラダイスオーケストラからサザンオールスターズまで、各日のトップバッターから大トリまで多彩なアーティストが揃い、5日間の総動員数は20万6千人を記録した。
今回はGRASS STAGEの1ステージ集中での開催。ひとつのステージにすべてのアーティストが立つ構成は、フェスとしてのシンプルな熱量と一体感を際立たせ、観客全員が同じ空間で同じ音楽を体感するという特別な体験をもたらした。
10-FEETが出演したのは9月21日(土)。この日のGRASS STAGEには櫻坂46、Novelbright、SHISHAMO、JO1など多彩なアーティストが名を連ね、10-FEETはその中盤を担う重要なポジションでステージに立った。
1997年に京都で結成された10-FEET(テンフィート)は、TAKUMA(Vo./Gt.)、NAOKI(Ba./Vo.)、KOUICHI(Dr./Vo.)によるスリーピースバンド。骨太なロックサウンドとストレートなメッセージ、そして圧倒的なライブパフォーマンスで20年以上にわたってシーンを走り続けてきた。自らが主催する「京都大作戦」でも知られる通り、フェスという場そのものへの深い愛着と経験値を持つバンドだ。
2023年には映画『THE FIRST SLAM DUNK』の主題歌「第ゼロ感」が大ヒット。NHK紅白歌合戦への出場も果たし、長年のファンのみならず新規リスナーにも広くその名を届けた。その勢いそのままにロッキンのステージへ臨んだ2024年のパフォーマンスは、まさに満を持したものとなった。
この日の10-FEETは全9曲を披露。初期の代表曲から最新曲まで、バンドの全キャリアを凝縮したようなセットリストとなった。
ライブの幕開けを飾ったのは「RIVER」。10-FEETのライブ定番曲であり、骨太なリフと疾走感が会場を一瞬で掌握する一曲だ。野外の開放感とバンドの轟音が混ざり合い、ひたちなかの空に向かって音が突き抜けていく感覚はこの曲ならでは。オープニングとして申し分ない選曲だった。
続く「ハローフィクサー」は、2022年リリースのアルバム「コリンズ」収録曲。前向きなエネルギーに満ちたナンバーで、ライブ序盤の勢いをそのままに会場の温度を上げ続けた。TAKUMAの力強いボーカルとNAOKIのベースラインが絡み合い、スリーピースの密度の高さを改めて実感させる。
「Re方程式」はアップテンポな展開と歌いやすいメロディラインが特徴の楽曲。フェスという場で初めて10-FEETを体感する観客にも自然と体が動く、開放的なナンバーだ。ロッキンの広大な野外空間と相性抜群の一曲でもあり、フロアの盛り上がりがひと回り大きくなった瞬間だった。
2024年リリースの最新曲「helm’N bass」をここで投入。バンドの新たな一面を提示しつつも、ライブで映えるグルーヴ感は健在だ。ツアータイトルにもなったこの曲をフェスの場で披露することで、長年のファンも初見のオーディエンスも等しく引き込む。バンドの現在地を示す重要な一曲だった。
「その向こうへ」は、10-FEETが持つ叙情的な側面が滲み出る楽曲。激しいナンバーが続いた後に置かれたこの曲は、会場に一瞬の静寂と深呼吸をもたらす。9月の空の下、海浜公園に吹く風と相まって、フェスならではのエモーショナルな瞬間を作り出した。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』主題歌「第ゼロ感」は、この日の最大のハイライトのひとつ。2023年の大ヒットと紅白出場を経て、10-FEETの代名詞となった楽曲だ。イントロが流れた瞬間に会場の歓声が一段階上がり、知っている人も初めて聴く人もその圧倒的なグルーヴに飲み込まれた。野外フェスの巨大な空間でこそ映える、スケール感のある一曲だった。
「蜃気楼」は、TAKUMAの切実な言葉が胸に刺さる楽曲。「第ゼロ感」の高揚感を引き継ぎながら、より深い感情の層へと会場を誘う。10-FEETのライブが単なる「盛り上がり」だけでは終わらないことを証明する選曲であり、フェスの熱狂のなかに静かな余韻を刻む一曲だった。
「ヒトリセカイ」は、孤独と向き合いながら前に進む姿を歌った楽曲。フェスという何万人もの人間が集まる場所で「ひとり」を歌うことの逆説的な美しさがある。ライブ終盤に差し掛かったこの曲で、会場にいた一人ひとりがそれぞれの「ヒトリセカイ」と向き合う瞬間が生まれた。
ラストを飾ったのは「goes on」。「それでも続いていく」という普遍的なテーマを力強く歌い上げるこの曲は、10-FEETのライブクロージングとして定番中の定番だ。5年ぶりのひたちなか、9月の夕暮れどきに響き渡る「goes on」は、会場にいた全員の心に深く刻まれたに違いない。演奏が終わっても鳴り止まない拍手が、その証明だった。
1997年に京都で結成された10-FEET(テンフィート)は、TAKUMA(Vo./Gt.)、NAOKI(Ba./Vo.)、KOUICHI(Dr./Vo.)による3ピースバンド。2003年にメジャーデビューを果たし、以来20年以上にわたって日本のロックシーンを代表するバンドとして活躍している。
パンク・ロック・レゲエ・スカを融合させた独自のサウンドと、TAKUMAによるまっすぐで熱いメッセージが特徴。自らが主催する「京都大作戦」は毎年完売する人気フェスとなっており、フェスカルチャーそのものへの深い愛情と理解を持つバンドとして知られる。2023年には映画『THE FIRST SLAM DUNK』の主題歌「第ゼロ感」が社会現象的なヒットを記録し、改めてその存在感を広く示した。
5年ぶりのひたちなか開催というロッキンの特別な舞台で、10-FEETは全9曲を通じて圧倒的なライブを見せた。「RIVER」から「goes on」まで、バンドの歴史と現在を一本の線でつなぐようなセットリストは、長年のファンにとっても、「第ゼロ感」で初めて10-FEETを知った人にとっても、それぞれに響く内容だった。
フェスという場で、野外という環境で、何万人という観客を前に鳴らす10-FEETのロックは格別だ。京都大作戦を主催するほどフェスを愛するバンドだからこそ、ロッキンのGRASS STAGEで放つ音には特別な説得力がある。2024年のひたちなかで10-FEETが刻んだ記録は、長く語り継がれるパフォーマンスのひとつになったはずだ。
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